地球にちりばめられて

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地球にちりばめられて』(多和田葉子著、講談社刊)を読み終えた。

ものすごく新しい視点で「言葉」や「国」をとらえた物語で、面白くて一気に読んでしまった。

もともとこの本を購入したきっかけは表紙である。
表紙の写真は友人の「彗星菓子手製所」のようさんの茶菓、琥珀。
Facebookでようさんのお菓子が装幀に使われていると伺って、すぐに本屋さんで見つけたもの。

作者は芥川賞作家であり、ドイツ在住の多和田葉子氏。

近未来のヨーロッパを舞台に、(日本と思われる)故郷の島国が消滅してしまったHirukoが母国の言葉を話せる同郷人を探す旅がテーマである。
そこに言語学者のデンマーク人のクヌート、インドからの留学生アカッシュ、ドイツ人のノラ、グリーンランド出身のナヌークらが加わり、話者も入れ替わり、それぞれの登場人物の背景が語られる。

私自身も大学では外国語を専攻していたので、言葉に対しては少しは敏感だと思っているのであるが、そんな思い上がり(笑)を吹き飛ばすような作者の想像力に脱帽した。
ネイティブに対する考え方やコミュニケーションツールとしての言葉の使い方などがとても柔軟で、新鮮だった。

故郷を失ってしまったHirukoはヨーロッパ大陸で生き抜くため、北欧のどの国でも通じやすい独自の言語パンスカを創り出す。
そのパンスカの響きが(もちろん日本語で翻訳されているという前提で読んでいるのだが)とても心地よい。
本来言葉と言うのは意思の伝達が目的である。
その目的に忠実に発するHirukoの言葉はとても純粋で嘘がない。

その透明さに表紙の琥珀のきらめきがとてもマッチしているような気がする。
掘り出し物の一冊。


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by leonpyan | 2018-05-18 15:21 | 書籍 | Comments(0)

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