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閑遊閑吟 

ミリオンダラー・ベイビー

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クリント・イーストウッドに特に思い入れがあるわけでもありません。
ダーティー・ハリーは興味がなかったし、その後の作品も話題作は観たけれど特にいいとも悪いとも思っていなかったし。

それが自分にとって気になる映画人としてインプットされたのは本当に極最近のこと。
2年前公開された『ミスティック・リバー』からでした。
『ミスティック・リバー』は大嫌いな映画でした。ショッキングだったと言ってもいいかもしれません。救いのない展開が許せなかった。
大嫌いではあったのですが、面白くないと思った映画はいつもならすぐに忘れるのに、この映画は鑑賞後かなり尾を引き、原作も読みました。
嫌いとは裏腹に私はイーストウッドの策略にまんまと乗ってしまったようでした。
そして未見だった『許されざる者』をDVDで鑑賞。こちらは反対にとても感動してしまい、イーストウッドに対する評価は中に浮く状態になりました。

今回はCMも予告編も観ず、映画評もできるだけ封印して極力ネタバレを避けて観に行きましたが、前作と同じように賛否両論であることは何となく聞いていました。
体調もあまり良くなかったし寝不足気味だったので133分持ちこたえるか不安もありました。(このところ鑑賞中に意識がなくなる例も多かったので)

結果・・・今回もまた私は捕らわれてしまいました。途中から展開が何となく読めたとは言え、最初から最後まで釘付けになりました。
映画自体は時に目新しい題材を扱ったわけでもなく、ラストについては受け入れられないという人も多いかもしれません。
でも、今作は素直に好き、と言えます。私にとっては今年のベスト入り確実かも。

鑑賞後、思い出すだけで泣けてくるのは何故なのでしょう。
父と娘、その思いを呼び戻されるような気がします。
(この作品に限らず、私はどうも枯れた初老の俳優の演技に弱いかも。亡き父の姿と重なるからでしょうか)
74歳のイーストウッドの背中は寂しく、そして優しい。
人生に対する慈愛に満ちた佇まいを感じます。

生きているうちには、輝く瞬間もあればどん底まで落ちることもあるもの。
その時その時の選択が正しかったのか、間違いだったのか、それは誰にもわかりません。
後悔しなければそれでいい、というものでもありません。
しかし、一所懸命生きたことは誇りに思ってもいいはず・・・。

光と影、栄光と挫折、家族の崩壊と再生、陳腐な言葉しか並べられない自分が情けないのですが、とにかく考えさせられざるを得ない映画でした。

ミリオンダラー・ベイビー@映画生活
by leonpyan | 2005-06-11 13:42 | 映画 | Comments(0)

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