2011年 07月 07日
ふがいない僕は空を見た
書斎?代わりの四畳半の和室には読もうと思っている本が何十センチも積まれているが、
一向にその高さは変わらず、むしろ何ヶ月かすると標高記録を更新している。
それでもたまに「すぐに読みたい」本が現れて、
積まれた本たちを置き去りにして一日か二日で「読了」棚へ移動していくことがある。
そして、この本もそんな一冊であった。
『ふがいない僕は空を見た』
窪美澄著 新潮社
この本を知ったのは先日放送されたNHK BSプレミアムの『週刊ブックレビュー』だった。
作者の窪美澄さんがゲストでスタジオに来ていて、
彼女を前にレギュラー出演者の藤沢周さんと滑川和男アナウンサーが
目をきらきらさせて、この本について語っていたのがとても印象的だった。
早速Amazonで購入し、本が届くのを今か今か、と待った。
ワクワクした。
そして手元に届いたその本は、表紙の青がとても清々しかった。
「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞しているだけあって、
のっけから性描写が多い。
でも、何故だろう、ちっともワイセツな感じはなくて、
何だか必死にもがいている登場人物たちに
「みんな、同じだよ」と励ましてやりたくなるようないとおしささえ感じるのだ。
5章からなる本作は、それぞれの章で登場人物の視点を変えて語られる。
登場人物一人一人、いろいろな問題を抱えている。
具体的な解決策は誰にも施されていないけれど、
方向性としては明るい未来を感じさせる人生の応援歌のような力作である。
私は5章で登場する「みっちゃん」が大好きだ。
彼女の「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかね!」と言うセリフは
ストン、と腑に落ちて、私の宝物のような言葉になった。
そうだ、ばかな恋愛、大いに結構。
ばかな恋愛経験者にもばかな恋愛予備軍にもオススメの一冊。
せつなさと、馬鹿なことを・・という思いとは裏腹の、自分の熱っぽさに対するなんというか・・抱きしめたいような気持と・・私も読んでみたい!と、思ってしまいました・・何十冊も積読がありますが・・