かくかくしかじか

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先週末、2泊3日で入院してきた。
実は5月末からお腹の調子が悪く、診断は胆石症。
すぐに手術しましょうと薦められたけれど、
イベントやら旅行やらいろいろ予定が詰まっていたので、
先生にお願いしてお盆休みを利用して治療することにしたのだった。

治療方法は腹腔鏡による胆のう切除。
「一時間くらいで終わりますよ~」と当初軽く言っていた女医先生、
手術一ヶ月前の説明の時は「合併症の危険性」「出血過多の危険性」やら「麻酔による危険性」やら「ブドウ球菌による危険性」やらいろいろ聞かされたものだから
「あのー、手術以外の選択肢は・・・・」と聞いてみたら
「ないですね~」と即答された。
まあ、手術前には考え得る危険性についてちゃんと説明しておかないとあとで何かあったときに困るんだろう。

で、手術は一時間・・とはいかないまでも、二時間で終わった。
ちょっと出血しやすい状況だったそうで、それでも特に問題はなかったと。

さすがに当日は痛みも強くて寝返りも辛かったけれど、
翌日にはだいぶ元気も出て、ただ横になっているだけでは時間を持て余し気味だったので
家から持ってきたKindleを開いてみた。
小説の文字を追うのはちょっとしんどかったので、漫画を読むことにした。

そこでポチッたのが『かくかくしかじか』(東村アキコ著)。
全部で5巻。
著者東村アキコ氏の自伝的漫画で、高校の頃通っていた絵画教室の先生へのオマージュ作品である。

これがかなり面白かった。
面白いと言うより心に響いた。
5巻は号泣しそうになったけれど、お腹が震えると傷がかなり痛むのでそれは頑張って我慢した。

そうだよ、何を描くか悩んでいるより、まずは描くことなんだ。
(茶もどう淹れるかとか、茶人はどうあるべきか、なんて考える前にまず茶を淹れろ、茶を飲め、だ。)
入院のおかげでこの漫画を読めた。
どこに小さな幸せが転がっているかわからないものだ。

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ところで、私のかわいそうな胆のうにはこんなに大きな石が三つも入っていた。
びっくりだ・・・。


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by leonpyan | 2015-08-19 15:27 | 書籍 | Comments(4)

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又吉の芥川賞もすごいけどさ、私的にはやっぱりこっちでしょ。
とりあえず買うとしたら。

70年代から80年代の台北。
中華商場。萬華。廣州街。小南門。迪化街。蒋経國。
1985年から2年間台北に住んでいた私にとっては馴染みの言葉が並んでいる。
街並みも読んでいると簡単に目に浮かんでくる。

最初のほうは少しとっつきにくいかもしれない。
登場人物も地名も漢字の羅列で、それだけで断念してしまう人もいるかもしれない。
唐突なお化け話にも引く人がいたりして。

でも中頃当たりから物語はアクセルをふかし始める。
ミステリーの部分は途中からある程度予想はつくが、
その後ろにある生き様というか、誰もが皆そうやってしか生きていけなかった、というところがあまりに切ない。

台湾好きには是非とも読んでいただきたい一冊。

」東山彰良著 (講談社)

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by leonpyan | 2015-07-30 15:26 | 書籍 | Comments(0)

ソロモンの偽証

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今年の初め頃から映画化されるということで宣伝が目に付くようになり、
ちょっと興味はそそられたけれど、文庫本にして6巻、
そんな長尺はとても読み切れそうもない、そのうち映画がDVDになったら借りて観ようと思っていた。

それが、先月飛行機の中で思ったより早く観ることができた。

 東京下町のある中学校でクリスマスイヴの夜、一人の男子生徒が屋上から転落して亡くなった。
 自殺とされたこの出来事が、三通の告発状で急展開を見せる。
 「自殺ではない、彼は殺されたんです」。
 マスコミにリークされたこの事件は多くの人を巻き込んでいく。
 一部の関係者の辞任などでゆるやかに収束していくかに見えたこの事件に
 一番傷つき一番疑問を持っていたのは生徒たちだった。
 何も解決していない、何も知らされない、それなら自分たちで真実を見つけよう。
 当時のクラス委員長だった藤野凉子は立ち上がり、校内裁判を提案する。

前半はここまで。
思いの外面白く、続きが早く観たい、と思わされた。
ただ、残念なことに機内で放映されていたのは映画の前編のみ。
後編は帰国後調べてみると、劇場での上映は終了、DVDが出るのは8月を待たなくてはならなかった。
それなら原作を読んでしまおう、と文庫を購入。

結果的に原作を読んだのは正解だった。
原作が長尺なので無理もないことだけれど、映画では語られない登場人物一人一人の状況や心情も書かれている。
映画では藤野凉子が中心として描かれているが、原作は群像劇だ。
裁判に関わる生徒たち一人一人を愛おしく感じる気持ちは原作を読んでいなければ起こらなかったのではないのだろうか。

14才、中学2年、その危うさはその年齢を過ぎた人なら誰でも実感できることだろう。
世界は自分を中心に回っているかの如くほとばしるエゴイズム。
しかし、まわりから自分が認められる実感はない。
自意識と自分を取り巻く環境との混沌をコントロールする術もまだ知らない。
まるで鞘のないナイフを持ち歩いているようだ。
人を傷つけるだけではなく、自分をも傷つけてしまう。
そんな危うい自分を持て余した経験がよみがえってくる。

大人になるために通過しなくてはいけない危うさ、
どうか皆何とか乗り切って欲しい。
そこで味わった辛さ、流した涙はきっと力になる、
そんなことを思いながら最後のページを閉じた。

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by leonpyan | 2015-07-16 14:58 | 書籍 | Comments(0)
友人kemiちゃんの旦那さまが講談社の+α新書から本を出しました!

「長生きは「唾液」で決まる!~ 「口」ストレッチで全身が健康になる 」

この9月から日大歯学部付属歯科病院の副院長に就任され、ますますご活躍が期待される植田耕一郎先生。
摂食機能療法学の教授として大学で学生の指導に当たりながら、
全国各地で摂食嚥下リハビリテーションについての講演をされ、その世界ではたいへんな権威です。

今回の出版は一般向けにわかりやすく摂食嚥下リハビリを紐解き、
それまでの経験に基づいて実践してきた「口ストレッチ」健康法を公開する内容となっています。

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この本の中で植田先生は唾液の大切さについて非常に理解しやすく説明してくれます。
それまで私たちが「歯」のケアについて考えていた常識をするりと飛び越えて、とてもポジティブで人間的な考え方を提示してくれるのです。
優しく誠実なお人柄がそのまま伝わってくるような文章です。

唾液についてのお話は是非皆さんご自身で読んでみてください!
私にとっては目から鱗の内容でした。

最後に本の中で印象に残った箇所を書き出しておきます。
これからの高齢化社会に一石を投じる文章であると感じました。

*******
  現代は、いかに生きるかが重要な時代です。
  手足のリハビリをするように、口や咽もリハビリをして、
 もう一回口から食べられるようになってもらうお手伝いをしたい、というのが私の願いです。 
    (P69~P70)

  よく耳にする「アンチエイジング」という言葉も、
 齢を重ねるたびに、それまでなかった新しい自分を発見し、楽しみ、
 慈しむことができるような時間の流れを創っていくこと、と理解すべきでしょう。
 「アンチエイジング」とは、劇的に若返ることを目指す言葉でもなければ、
 加齢に抵抗し、そのスピードをゆるやかにするだけの、後ろ向きの言葉でもないのです。
    (P130)
*******

この出版を記念して、10月5日(日)午前10時から日大歯学部1号館大講堂にて植田先生による市民公開講座が開催されます。
入場は無料ですが、申込み受付は先着順となっています。
詳しくはこちら→のHPをご参照下さい。
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by leonpyan | 2014-09-14 22:17 | 書籍 | Comments(2)

虐殺器官

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虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)」を読了。
友人がツィッターで薦めていたので、タイトルのおどろおどろしさに少々引きながらもamazonでポチりました。
最初の30ページくらいまでは主人公の勿体付けたような乾いた語り口に
若干乗り切れないまま読み進んでいたのですが、
主人公たちがミッションを遂行するあたりからは一気に読みました。

なるほどすごい本でした。
友人がつぶやいていた通り、これが英語で書かれていたら、世界でベストセラーになっていたでしょう。
近未来SFという形をとりながら、実にグローバルな視点で現代社会の闇を見事に描いています。

作者の伊藤計劃氏は2007年に本作でデビューしてからわずか2年足らずで夭折。
享年34、早すぎる死が惜しまれます。

読みながら、『地獄の黙示録』や『ブラックホーク・ダウン』や『シティ・オブ・ゴッド』などのワンシーンがふと思い出されました。
この本が映画になったとしたら、どの程度まで表現できるんだろうか。
ものすごく映像的な文章ではあるけれど、忠実に映像化したらR18は確実でしょうね。

作品中、主人公と同僚が『プライベートライアン』の冒頭15分の無料視聴をするシーンがあるんですが、
残虐シーンの二重構造みたいで、何となく滑稽です。
何せこのお話自体、『プライベートライアン』に勝るとも劣らない戦闘シーンが満載ですから。
でも不思議なことに、主人公の乾いたような繊細で未成熟な語り口のおかげか、
その残虐さの前に立ち止まる余地は与えられません。

最近『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)』とか『真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)』とか『図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)』などのベストセラーのライトノベルばかり読んでいたもので、
今回は久々にかなり刺激が強くて、読み終わった後も引きずってます。

同じ作者の『ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)』も読んでみようかな。
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by leonpyan | 2012-06-12 00:59 | 書籍 | Comments(2)

ふがいない僕は空を見た

恥ずかしながら最近はあまり本と言う本を読んでいない。
書斎?代わりの四畳半の和室には読もうと思っている本が何十センチも積まれているが、
一向にその高さは変わらず、むしろ何ヶ月かすると標高記録を更新している。

それでもたまに「すぐに読みたい」本が現れて、
積まれた本たちを置き去りにして一日か二日で「読了」棚へ移動していくことがある。

そして、この本もそんな一冊であった。

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ふがいない僕は空を見た
窪美澄著 新潮社

この本を知ったのは先日放送されたNHK BSプレミアムの『週刊ブックレビュー』だった。
作者の窪美澄さんがゲストでスタジオに来ていて、
彼女を前にレギュラー出演者の藤沢周さんと滑川和男アナウンサーが
目をきらきらさせて、この本について語っていたのがとても印象的だった。

早速Amazonで購入し、本が届くのを今か今か、と待った。
ワクワクした。
そして手元に届いたその本は、表紙の青がとても清々しかった。

「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞しているだけあって、
のっけから性描写が多い。
でも、何故だろう、ちっともワイセツな感じはなくて、
何だか必死にもがいている登場人物たちに
「みんな、同じだよ」と励ましてやりたくなるようないとおしささえ感じるのだ。

5章からなる本作は、それぞれの章で登場人物の視点を変えて語られる。
登場人物一人一人、いろいろな問題を抱えている。
具体的な解決策は誰にも施されていないけれど、
方向性としては明るい未来を感じさせる人生の応援歌のような力作である。

私は5章で登場する「みっちゃん」が大好きだ。
彼女の「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかね!」と言うセリフは
ストン、と腑に落ちて、私の宝物のような言葉になった。
そうだ、ばかな恋愛、大いに結構。
ばかな恋愛経験者にもばかな恋愛予備軍にもオススメの一冊。
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by leonpyan | 2011-07-07 13:42 | 書籍 | Comments(4)

ダメージド・グッズ再び

以前、このブログで紹介した友人の著書『ダメージド・グッズ』
出版元の新風舎の倒産で、一旦は「幻の本」となってしまいました。

それがたくさんの人たちの応援と活動によって聖公会出版から改訂版が出版されることに!

販売は11月8日。
予約注文が可能です。
詳しくは、下記の通りです。
宗教を越えて、全ての人に読んでもらいたい、素晴らしい本です!

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聖公会出版からのお知らせ
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カリフォルニア州保護観察科に勤めるソーシャルワーカー、久美・コナーさんと、22年前脳溢血で倒れて以来半身不随の母、穴沢登美さんの共著『ダメージド・グッズ』が、待望の新装・改訂版となって刊行されます。

書籍代金は1冊1470円。11月8日発刊予定。現在ご予約承り中です。予約注文は下記の事項を記載の上、聖公会出版までお願い致します。 
 1、お名前
 2、住所
 3、電話番号、メールアドレス
 4、予約冊数

刊行次第、ご依頼の住所へ直送します。代金(送料実費込み)は、書籍に同送する郵便振替用紙を利用の上、後日振込みをお願い致します。

  聖公会出版 
  e-mail: nskk-bookshop@company.email.ne.jp
  fax: 03-3235-5682
  Tel: 03-3235-5681


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by leonpyan | 2008-09-13 22:41 | 書籍 | Comments(0)

空と樹と

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またまた素敵な本との出会いがありました。

詩人・長田弘氏と日本画家・日高理恵子氏とのコラボ、『空と樹と』。

大きな木の下に立つと、そこにある種の神々しさと言うか、
抗えない自然の力を感じることがあります。

私たちが自然のもとに、本当にちっぽけな存在であること、
そしてそれと同時に自然の力に支えられ、愛されていることも実感する。

そんな不思議な感覚を
優しくかつ力強い言葉で表している長田氏と
岩絵具で筆を走らせることで伝えている日高氏。
その方法は違っても、どちらも私たちの心に深く響いてくる。

そんなお二人のマジックを相乗効果にしたような本がこれ。
大人の絵本とも言うような雰囲気になっています。
日々の忙しさに追われ、なかなかゆっくり旅に出られない方にもお奨め。
空と平原と樹のある空間に導かれ、ふっと自分を振り返ることのできる、そんな本です。


ちなみに日高理恵子氏は高校の同級生でもあります。
もう何十年も樹を描き続けている、私の誇らしい友人です。
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by leonpyan | 2007-12-09 12:17 | 書籍 | Comments(4)

いらっしゃませ!ちょしと申します。映画・観劇の感想、旅行記、カメたちの写真などを載せています。よろしかったらコメント残してくださいませ♪


by ちょし