通し狂言 霊験亀山鉾


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国立劇場の通し狂言上演、この秋は『霊験亀山鉾 ―亀山の仇討ー』。
片岡仁左衛門丈が「悪の華」を演じる、これだけでも観る価値十分です。

藤田水右衛門、古手屋八郎兵衛実は隠亡の八郎兵衛 片岡仁左衛門
石井兵介、石井下部袖介 中村又五郎
石井源之丞 中村錦之助
源之丞女房お松 片岡孝太郎
芸者おつま 中村雀右衛門
石井後室貞林尼 片岡秀太郎

仁左衛門演じる水右衛門はこれでもか、ってくらい悪い奴なんですが、不思議と陰惨な感じがしない舞台でした。

兄を水右衛門に殺され、仇討ちに来た石井兵介は謀略で返り討ちにあい、
養父の兵介の仇討ちを期する源之丞も家来も源之丞の子を宿した芸者おつまも皆返り討ちで殺されます。
その殺し方がまた冷血で、水右衛門の不敵な笑いがゾッとするほど苦み走ったイイ男でして、
なるほど「悪の華」が咲いている~と納得してしまいます。

返り討ちにされる源之丞はちょっと脇が甘いといいますか、女にも弱いし、これは仇討ち無理なんじゃ?と思っていたら、やっぱりだめだった(>_<)。
実生活でもモテるらしい錦之助さん=源之丞の色男ぶりは相変わらずですね。
孝太郎さん、雀右衛門さんの女形もいい演技でした。

水右衛門にそっくりな八郎兵衛(仁左衛門が二役)というヤクザっぽい男が出てくるんですが、
この存在がちょっと唐突で必然性があるのか疑問でした。
火葬場で働く男(=穏亡)という設定なんですが、江戸時代は被差別階級であったようで、
現代の私たちにはわかりにくい、物語のスパイス的な演出なのかもしれません。

見どころたっぷり、最初から最後まで目が離せない面白い舞台でした。


そうそう、幕間で、中村橋之助さんが今週末に開かれる歌舞伎の研修発表会のお知らせを客席で配っていました。
間近で見ると、何と爽やかなイケメン。
ブログにも宣伝が載っていましたので、10月21日(土)、ご興味ある方は是非。

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# by leonpyan | 2017-10-16 22:40 | 歌舞伎鑑賞 | Comments(0)

最近読んだ本

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10月初めにギックリ腰になってしまったことで、
外出もほとんどキャンセル、図らずも時間ができまして、
保留になっていた本と気になる本を一気に読むことができました。

本はいつも何かしら読んではいるのですが、ブログに感想を書くのはほんの一部。
記録に留めておきたい時のみですが、この2冊は本当に良かった。

どちらも人生を、それも黄昏時の人生を咀嚼するような本です。
10年経ったらもう一度読んでみたい、そんな気がしました。



人間国宝、文化勲章受章、御年93歳の染色家、志村ふくみさんのエッセイ集です。
昨年、世田谷美術館へ「志村ふくみ―母衣(ぼろ)への回帰」展を観に行きました。
草木染の糸を紡ぎ、繊細な色彩を表現した着物はまるで一幅の絵画のようでした。
その幻想的な美しさに魅了され、このエッセイを購入しました。

志村さんには随筆家という肩書もあり、著作物も少なくありません。
読んでみて、その語彙の多さ、表現力の豊かさに驚くと同時に
『一色一生』のタイトルが示すように一色に一生を賭けるが如く、
織物へかける情熱と不断の努力と探求には深く感銘を受けました。

志村さんのこの文才はもちろん溢れるような才能と知性によるものでしょう。
が、この本の中の「私の会った人」の章の中で、陶芸家の富本憲吉氏から次のようなことばをいただいたと書かれていました。

「工芸の仕事をするものが陶器なら陶器、織物なら織物と、その事だけに一心になればそれでよいか、必ずゆきづまりが来る。
 何でもいい、何か別のことを勉強しなさい。 
(中略)
 あなたは何が好きか。文学ならば、国文学でも仏文学でも何でもよい。勉強しなさい。私はこれから数学をやりたいと思っている。
 若い頃英国に留学した時、建築をやりたいと勉強したが、それが今大いに役立っていると思う。」

このことばが志村さんの文筆活動に影響を与えていることは確かだと思います。
表現すること、それは織物であろうと、文章であろうと、根底には共通する何かがあるのだ、という思いを強くしました。


日の名残り (ハヤカワepi文庫)』 カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳

今をときめくカズオ・イシグロ氏の、イギリスを代表する作家としての名声を確固たるものとしたブッカー賞受賞の1989年の作品です。
全編、英国の執事スティーブンスの語りで構成されています。

感想の順番が逆になりますが、まずは翻訳が素晴らしい!
英国執事の’品格’(この小説のキーワードでもあります)を損なわない格調高い文章で、尚且つとても親しみやすく読みやすい。
途中、「忖度」なんて単語も出てきて、ウケました。

それにしても、ミスター・スティーブンスの愛おしさと言ったら胸が締め付けられるようです。
執事の仕事を全うするために、彼は指の間からすくった砂が流れ落ちていくように大切なものを失っていきます。
そこはちゃんと握っていないとダメでしょう!と何度叫びたくなったことか。

人は過去を振り返るとき、自分の都合のいいように記憶を塗り替えることがあります。
もしくはそのことを考えないようにし、感情を封じ込めてしまうことも。
先日テレビで瀬戸内寂聴さんがおっしゃっていましたが、
身体の痛みや辛いことはその時は一生忘れないと思っていても、人は忘れるようにできている、それはある意味幸せなことなのかもしれません。

ミスター・スティーブンスは人生を振り返り、旅の終わり近くの夕暮れ時にふと涙します。
自分が無駄にした人生、どこかでボタンを掛け違えてしまった人生を思いながらも
誇りを失なわず、品格を失わず、執事という職務に没頭してきたことに満足する理由を見つけようとします。
これからの人生の前向きな目標も定めながら。

ミスター・スティーブンスの一生は大英帝国の没落にも重なるのですが、それはとりあえずここでは書かないことにいたしましょう。

『日の名残り』はアンソニー・ホプキンス主演で映画化されているので、こちらも観てみようと思います。
私のイメージのミスター・スティーブンスはもう少し線が細くて地味な男前なんですけれどね(笑)。

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# by leonpyan | 2017-10-15 21:31 | 書籍 | Comments(0)

髑髏城の七人 Season風

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劇団☆新感線の『髑髏城の七人』花鳥風月シリーズもいよいよ第三弾、シリーズ風。
当初は観る予定がなかった風ですが、どうせなら全シリーズ観よう!とYちゃんとも意見が合いまして四度目の登城。

以下、ネタバレありです。
未見の方はご注意を!

いやー、やはり面白いです!
毎回、あ、今回はそうきたのね、とか
あ、ここはお約束だよね、とか、新鮮な面白さがあります。
今回は捨之介と天魔王が一人二役で顔がそっくりという設定。
昔、古田新太や染五郎がこの演出で演じたそうですが、私たちは観るのは初めてでした。
ストーリーとしてはこの方が王道という気がします。

松山ケンイチ、風になびく髪と着流し、明るいあんちゃん風なのもいいですね。
どちらかと言えば憑依体質な役者さんだと思うので、捨之介と天魔王の演じ分けも見どころでした。
殺陣はなかなか良かったけれど、あの側転は何・・・と思ったら、カポエラーらしい(笑)。

向井理・・・う、何も言うまい、と思いつつ、書かずにはいられない。
スーッとした抜群のスタイルにちっちゃなお顔、ビジュアルは、ええ、申し分ありません。
ただ、ただ、時代劇には合わないかも・・特に舞台では映えないというか・・・表情も薄い。
それにも増して、殺陣が・・・その場面は演技すらアウト・・・
前の蘭兵衛役が山本耕史と早乙女太一だっただけに、その差が大き過ぎて、可哀想ですらある。
(ああ、ファンの皆さま、ごめんなさい!)

田中麗奈、いい女優さんになったと思うけれど、この役には線が細すぎるかな・・・
こちらも前の極楽大夫役のりょうと松雪泰子に比べてしまうと少し迫力に欠けると言うか・・。

兵庫役の山内圭哉、狸穴治郎衛門役の生瀬勝久、贋鉄斎役の橋本じゅんさんは文句なし。
今回はこの三人の出番がかなり多くて、風を締めている感じでした。
沙霧役の岸井ゆきのもはつらつとした演技が良かったです。

今回特に脇を固める役者さんたちがよかったですね。
裏切りの三五(河野まさと)、猫好きの猿翁(逆木圭一郎)、天魔王の側近瞬眉(村木よし子)、
遣り手のおえま(保坂エマ)、鎌使いの磯平(磯野慎吾)、
皆さん新感線の役者さんたちです。

それにしても連日満席、同じお話でも花鳥風月全部観るという人は私たち以外にもたくさんいるんでしょうね。
同じお話を違う役者で観る、というのも違った面白さがあります。
(そうですね、同じお茶でも淹れ手が違うと味が全く違ったりする。)
次回は月。若手中心の上弦の月を観る予定。
入城が楽しみです!

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# by leonpyan | 2017-10-13 23:50 | 観劇 | Comments(0)

舞劇『孔子』

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今年は日中国交正常化45周年。
(ということは、台湾との国交が消滅して45年ということ。
台湾びいきの私はどうしてもそちらに気持ちが向いてしまいます。)
来年は日中平和友好条約締結40周年を迎えます。
外務省では、それを記念して開催する行事の認定を行っており、正式に認定されると日中国交正常化45周年のロゴを使えるそうです。

そんな冠ロゴのついた舞劇『孔子』を観てきました。

中国史上最も有名な思想家、教育家の一人である孔子の波乱万丈な人生をセリフなしの舞踊のみで描いています。
中国歌劇舞劇院によるオリジナルで、世界各国で上演され、好評を博しているとのこと。

西洋の舞踊をベースに中国民族舞踊や京劇の要素も取り入れ、中国古来の伝統の継承と革新を理念とした舞踊チームが
美しい衣装に身を包み、躍動的かつ繊細に踊ります。
ダンサーたちの体格の良さ、体幹の強さ、すぐれた身体能力に驚くと共に、厳しいレッスンを経てあれだけの表現ができるのだろうと思いました。

故郷魯国の宮廷では争いに巻き込まれ追放され、孔子は理想の政治への希望を抱きながら弟子たちと共に列国周遊の旅に出ます。
飢餓と寒さに襲われ、民衆の困窮を目の当たりにする中で孔子は信念を捨てず、最後まで自分の理想とする大同の世界を夢見ていました。
思想家・教育家としてとても厳格で確固たる地位にあるというイメージを持っていましたが、
この舞台ではなかなか理解されず迫害され苦悩し、逆境の中で弟子たちと共に励まし合いながら強く学問の道を進む姿が描かれます。

紀元前の春秋戦国時代に生きた孔子、
その孔子の教えが日本の江戸時代に寺子屋で読まれ、日本の300年に渡る平和な武家社会に影響を与えたこと。
そして中国や韓国では今なおその生活の中にその教えが根付いているということ。
感慨深く思いました。

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# by leonpyan | 2017-10-02 20:58 | 観劇 | Comments(0)

宝塚 月組公演

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今月も行ってまいりました、宝塚。
このところ抽選の勝率100%の月組。
演目は「『ALL for One』~ダルタニアンと太陽王~」、
フランス古典ものは舞台が華やかでいいですね。

トップの玉城りょうさんのダルタニアンは若く真っ直ぐな感じがぴったりでした。
色っぽさはアラミス役の美弥るりかさんが持ってっちゃってましたけど。
トップ娘役の愛希れいかさんは研究生時代は男役だったそうなので、今回の役はぴったりでした。
敵役ベルナルドを演じた月城かなとさん、すごく恰好いい、と思ったら雪組からの組換えだったんですね。これからの活躍も期待しています!

宝塚観劇、先行抽選に当たったときだけ行くことにして、特にひいきの組もジェンヌさんも決めていません。
たまーにハズレの演目もあるけど(笑)、総じて大人のワンダーランド、日常の疲れを忘れさせてくれます。

帰りに最寄りの駅からタクシーに乗ったら、運転手さんに「お仕事で着物を着てらっしゃるのですか?」と聞かれました。
雨模様だったので、川越唐桟を着てたせいか、あまりお出かけっぽくなくて、仲居さん風に見えたのかも(笑)。
着物姿が日常的にはほとんど見られないですからね。
でも普段着物をさらっと着こなせるようになりたいわ。仲居さんに見えずに(爆)。






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# by leonpyan | 2017-09-29 09:53 | 観劇 | Comments(0)

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by ちょし