故郷(ふるさと)の香り

『山の郵便配達』が日本でもヒットしたフォ・ジェンチイ監督の2003年作品。

今は北京で役人をしている主人公ジンハーが10年ぶりに故郷に帰り、初恋の女性ヌアンと再会します。
実は10年前北京に旅立つとき、ジンハーはヌアンに必ず迎えに来ると約束していたのですが、月日がたち、疎遠になり、彼女を「捨てた」形になっていたのです。
彼女は昔は嫌っていたはずの幼なじみの聾唖者ヤーパと結婚しており、生活も苦しいらしい。
誰しも戻りたくとも戻れない青春時代があり、やり直しがきかないからこそ後悔の念に悩まされる、そんな思いを持っている。
偶然の再会で、二人の感情が揺り動かされる・・・。

1時間49分というそれほど長くない上映時間なのだけれど、私には少し長く感じてしまいました。
ストーリーは初めから何となく想像がつくし、淡々とした演出と、流れを断ち切るフラッシュバックに少々退屈を感じたのが正直なところ。

『山の郵便配達』が日本でとてもウケたので、その雰囲気を維持した形で撮るように日本のスポンサーから依頼があったのか?
映像はDiscover JapanならぬDiscover Chinaとも言うべき美しさ。
村の生活も牧歌的な雰囲気で、観ている私たちを和ませてくれます。
でも、私には伝わるものはそれだけだった。

「村」というものを描いているにしては、主人公と村人たちとの触れ合いは十分に描かれない。
主人公の世界だけで話が動いている。
それにしては主人公の人物像が浮かび上がってこないし・・。

香川照之の演技(ヤーパ役!)だけが目立っていて、他が霞んだせいもあるのかも。
香川は熱演していますが、キャラで演じているだけ、という気もします。力技、みたいな。

何と言ってもストーリーが平板。
でも莫言の原作ですよ?
こんな牧歌的で生ぬるい小説を彼が書くのだろうか?
原作をまだ読んでいないので、いぶかしく思っていたところ、
こちらのサイト
「Tomotubby’s Travel Blog」
に原作のあらすじが載っていました。
やっぱり随分違うのね。
莫言自身は映画は映画として認めていらっしゃるらしい。さすが太っ腹!
でも、私は原作に忠実な映画を観たいです。
ジアン・ウェンあたりが撮ればなあ。

風景がきれい、
北京語もきれい(方言はなし。中国語学習者にはお奨め!)、
主人公のセリフもきれい!っつーか、きれいごとで終わっていた・・。

故郷の香り@映画生活
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Commented by hanacha3 at 2005-03-04 02:38
こんばんわー。
「山の郵便配達」見ましたよ、私も。
ストーリーはなかなか、親子愛と言うか父子愛と言うか、そんな心の奥に誰でも持ってるはずの内容でしたね。
後、「北京ヴァイオリン」も見ました。
「山の郵便配達」は、内容よりも、思わず景色の色合い、美しい色彩の方に目を遣ってしまった私です(^^;。
今回見られた作品も、今度見てみますね!
Commented by leonpyan at 2005-03-04 14:49
>hanachaさん
コメントありがとうございます♪
『山の郵便配達』や『北京ヴァイオリン』がお好きでしたら、この『故郷の香り』もお気に召すのではないかと思います。
江西省で撮っているそうです。江西省といえば盧山雲霧茶ですね!(^^)景色の素晴らしい場所がたくさんありそうです。
Commented by デッカード at 2005-03-05 01:44 x
いやぁ、未見ですがすっかり観た気になりました。オマケに『莫言』という人の存在もしりましたし、『赤いコーリャン』は観ててもなかなか原作者まではチェックは入りませんからねぇ・・・う~ん、勉強になりますなぁ・・・。今作はかなり原作と違ってますねぇ・・・・オイラも原作に近い方がより観てみたい気がしました。とりあえずビデオが出たらチェックしてみます。あ!『北京ヴァイオリン』も未見だったわ!『北京的西瓜』と『レッドバイオリン』は観ているのに・・・・って全然関係ないよ!
Commented by Tomotubby at 2005-03-05 03:38 x
Tomotubby’s Travel Blog ご紹介いただいてありがとうございます。

映画は小説を読んでいない方が楽しめるのかもしれません。小説を先に読んだため、暖や唖巴に対して先入観を持ってしまいました。

どなたかが書かれていましたが、小説を映画化しようとしたとき、国家から、どうしてよりによって身体障害者ばかりが出る映画を作るのか。とケチがついたようです。確かに原作のまま映画にすると、救われないような気がします。
Commented by leonpyan at 2005-03-05 15:57
>デッカードさん
原作本を映画化するときにかなり脚色して変えてしまうことって往々にしてあると思うのですが、この映画はテーマ自体も変えてしまっているような感じですよね。
フォ監督の持ち味と言うのもあるので、この映画はこの映画で独立したものと考えれば納得は行くのですが、莫言の名前を掲げているだけにちょっと引っかかってしまいました。
ビデオ観たらまた感想をお聞かせくださいませ。
Commented by leonpyan at 2005-03-05 16:02
中国の検閲はまだまだ大変なようですね。
確かに原作そのままはすごいことになりそうです。(^^;
でも第五世代の監督たちの初期の作品はわりと救いのない話が多かった気がします。それでも中国の未来へ希望を持たせるような方向性がありました。
昔と今では映画の存在意義も変わってきたということなんでしょうか。あまり中国の暗い部分を見せたくないと言うことかな?
by leonpyan | 2005-03-02 22:17 | 映画 | Comments(6)

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