ディパーテッド

観てきましたよ、『ディパーテッド』。
香港版オリジナル『インファナル・アフェア』の熱狂的ファンには評判いまいちですが、
スコセッシ監督のマフィア物だから、形にはなっているはず、と少し期待してはおりました。

感想としては、まあまあかな?
オリジナルを知らずに観ればもっと楽しめたかもしれません。
豪華キャストの競演、テンポのいいストーリー、ドキドキの駆け引き。
これはこれでひとつのギャング映画としては面白い気がします。

ストーリーや要のシーンはかなり忠実に作られていたけれど、根本的なところに少し違いがありました。
香港版は仏教的思想がベースにあり、それが主人公二人にとっての行動規範となっていたわけだけれど、
ハリウッド映画では移民社会が背景にあって、アイデンティティの獲得ということが前に出てくるのね。
人情みたいなものもハリウッド版はドライに描かれています。
そのへんの描き方の違いが面白い。

(ここからネタバレあります)





まあ、苦言を言わせてもらうと、香港版のような「善」への苦悩やもがきがないハリウッド版『ディパーテッド(=死者)』にはやはり少し食い足りなさを感じますね。
香港版『無間道(=無間地獄)』は「絶え間のない苦しみの世界」を表していたわけですよ。
「悪」はどうやっても地獄に落ちる。生きるも地獄、死ぬも地獄なわけ。
表の世界で生きるためには「善」とならなくてはいけないのね。

主人公二人はどちらも生き残り、現状から這い上がろうとしてもがいていた。
でも決定的な違いはヤン(ハリウッド版ではビリー)は「善」に生きているので救いがある。
ラウ(ハリウッド版ではコリン)はどこまでも無間地獄が待っている。
その切実さが二人の対峙でよりくっきりとしてくるところに醍醐味があった。
ラウ(=コリン)は最終的にはヤンに代わって自分が「善」に成りすまそうとしたわけだし。

ハリウッド版ではコリンの人物像がそこまで描かれていないのが残念。
そのへんが香港版ファンに「薄っぺらい」と言われる所以かも。

ビリーに関しても、レオはよく演じていたとは思うけれど、
香港版のヤン=ビリーにはもう少しカリスマ的な魅力があったのに、
ジャック・ニコルソンに迫力負けしてしまったような。

それにしても最後はちょっと尻つぼみだったよね。
マドリンがビリーから受け取った封筒は何だったのか置き去りだし、
ディグナム(マーク・ウォルバーグ)が突然登場したのも腑に落ちない。
続編で説明されるのだろうか?
っつーか、続編あるの?誰が主役やるの?


ディパーテッド@映画生活
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Commented by (・ε・) at 2007-01-30 01:03 x
こんばんは。わたしも、原作知らなければ単純に楽しめたと思います。

また、国民性やら社会状況やら宗教観で、違いが出てくるのは無理もないと思いながら見ていました。

上映時間長いのに、おしまいのほうでバタバタしていましたね。まちがい捜しクイズにも見えました。
Commented by デッカード at 2007-01-30 01:30 x
っつーか、ディグナムのキャラってなんなんでしょうかね?単に最後の為に用意されキャラのような気がしてしまいますが・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ...
Commented by leonpyan at 2007-01-30 23:03
> (・ε・)さん
まちがい捜しクイズ・・・確かに!
インファナル・アフェア1・2・3の要素を全部ひっくるめちゃったから最後は無理やり拡げた風呂敷をたたんだような慌しさでした。
Commented by leonpyan at 2007-01-30 23:07
>デッカードさん
ディグナムは最後の役目とあとは下ネタ担当なんでしょうね。
『インファナル・アフェア 無間序曲』のルクのかわりなのかなあ。何だかなあ、ですね。でもオスカーノミネートって・・・。
Commented by とんきち at 2007-01-31 14:36 x
おお、よくぞこの短い文章でつぶさに語ってくださいました。
私も「原題の『無間道』は仏教の十何番目かも地獄で、、、」と
書き始めてとても説明できず途中で断念しました。

違いがあるのはいいし、
オリジナルの世界を表現できないのもわかるのですが、
それに代わるものが何もないのが残念でした。

ディグナムは一番生き生きしていたキャラのような気がしましたが、確かに不要ですね。マット君はただいけ好かないキャラで、とても気の毒でした。
Commented by leonpyan at 2007-01-31 23:30
>とんきちさん
そうなんですよ。『無間道』のストーリーの面白い部分はしっかり取り入れているけれど、精神性の部分は抜け落ちてますね。まあ、スコセッシ監督はオリジナルは観ていないようなので・・。
Commented by かっこ at 2007-02-01 18:23 x
さすがだなあ、ちょしさんのこの文章。
知的な感じがそこここににじみ出ているわ。
感じた事を文章で端的に表現できるこの文才に私はブラボーでござんす!!
Commented by leonpyan at 2007-02-01 20:50
〉かっこさん
いやいや、痴性の間違いでしょう?香港映画のこととなると、マジに取り組んでしまいますが。かっこさんもいいオトコ話では筆が走ってますよ〜(#^.^#)
by leonpyan | 2007-01-29 16:55 | 映画 | Comments(8)

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