空海関係の小説や伝記は遠い昔に読んだ気もするけれど、ほとんど覚えていません。
今回はある勉強会の先生にお借りしました。
先生は以前空海が若い頃に修行したという室戸岬にいらしたことがあるそうです。
その洞窟に入って外を見ると、まさしく空と海の青だけが目に入ってきた、とのこと。
そのお話を伺って、なぜかとても空海に興味を持ちました。
去年空海の自筆の書を目にする機会があったことも一因かもしれません。
司馬遼太郎の最高傑作とも言われる本作、上下二巻で最初の方はちょっと読みにくく、
結局読み終わるまでかなり時間がかかってしまいました。
それでも退屈というわけではなく、むしろ最初からかなり面白いのですが、
内容が少し難しい部分もあって読む速度は最後までそれほどUPしませんでした。
二箇所とても印象的な部分がありました。
ひとつは弘法大使はまだ高野山の奥の院で生きていらっしゃる、とされているということ。
入滅したとは言わず、入定したとされているらしいです。
もうひとつは空海の遣唐使としての留学時代の描写。
長安はそのころ世界第一級の都市であり、文化も最先端を行っていました。
そこで空海はその才能を存分に発揮します。
書の巧みさ、漢文の上手さ、知識の広さ。
長安の文人たちともかなり交流があったとされています。
空海は生涯に渡ってこの2年の留学時代を懐かしく思っていたに違いない、と司馬遼太郎は強調しています。
この空海の留学時代については、チェン・カイコー監督が製作中の映画『空海ーKU-KAIー』が来年公開されます。
こちらもとても楽しみです。
最後に、この本は当然のことながら最澄と空海の関係性にも重きを置いています。
この二人の偉人、どちらにより惹かれるかと言えば、私はやはり空海でしょうか・・・。